修理屋物語 エピソード7 戦いと求めるもの

クランチャットの緑色の文字に慣れ始めた頃だった。

そのクランチャットで戦慄の言葉が流れた。

「犬を殺された。DKだ!!」

一瞬止まるチャット。

そして堰を切ったように
「どこ?」
「相手は?」
「やりに行くぞ!」

質問と怒りでチャット欄が流れる。


しかし、相手の血盟を聞いてみんなが一瞬黙る。

相手はTopJだった。
クランの構成員も多く
平均レベルも高い。
戦争にも顔を出し
フィールドでのPK/DKは良くある事だった。

(相手がデカすぎる)

恐らく、誰もがそう思ったろう。
それでも
クランごとの抗争とか
粘着される事に対する恐れとか

きっと誰も気づいていなかっただろう。

みんな完全に頭に血が上っていた。


全員がダッシュで集合し
DKした本人を探す。

いた。
ケントの橋の側で
同じクラン員の数人と話しをしている。

怖いもの知らずだった。
ヤツらの前まで行き
いきなり斬りつける。

相手が動き出す。
オーガに変身したまま
デカイ斧を振り回す。

「引け!!!」

Hyakuの叫びが聞こえた。
ナイトであり
僕や友人よりレベルが高く
戦争好きで
戦場で人を斬りまくっているHyakuが
あっさり飛ばされた。

そう。
まったく歯が立たなかったのだ。

だいたい
周りにいたヤツらの仲間たちも
僕達が変身出来ないレベルの変身をしていた。

レベルも違う。
PKのスキルも違う。

そしてクランの規模も違う。


僕らはまるで子供扱いだ。


それ以来
自分だけに関しては
犬を引き出すにもケントに近寄らなかった。

狩場で相手を見つけても
悔しくて悔しくて堪らなくても
ただ呆然と見ているだけしか出来なかった。

僕らは
もちろんレベルが上がるのも楽しみにしていた。

でも所詮ゲームだ。
楽しくなければゲームじゃない。
みんなでわいわいやって
その結果
レベルアップでいいじゃないか。

そう思っていた僕たちに
重い現実を突きつけられていたのだ。

強くならなければならない。

カオティックになる様な事をしても
誰も取り締まる訳ではないんだ。

自分の身は
自分たちで守らなければならない。

この時初めて
「まずはレベル45」

まったり
チャットや狩りをだけを楽しんでいたクランは
ひとつの目標を掲げねばならなくなったのだ。

そして盾になるべく
ナイトの僕は
他のみんなより

そして他のナイトよりも
強くなりたいと
心から願う様になった。


まずは目の前のライバル
Hyakuとナイト見習中に追いつかねば。


それが僕の目標になった。



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