修理屋物語 エピソード3 夢 修理します

カノープスサーバー。
シリウスサーバーに比べ
まだ接続人数も半分だった。

新しいだけに
初心者エリアはまだまだ混雑しているだろうが
レベルが拮抗していた方が面白い。

人の少ない時間にログインすればいいんだ。
どの道
リアルもゲームも人ごみは嫌いだ。


さっき迄とは違い
シリウスの隣に表示された
カノープスを選んでログイン。

まだ真新しい
キャラクター選択画面から
「New」を選択した。


職業はやっぱりナイトだった。
とりあえず他のキャラクターには
何故か見向きもしなかった。

サイコロでステータスを決める。
今度は本気だ。
何回
何十回と振り続ける。

良さそうなステータスが出ない。

諦めかけた頃
やっとSTRに19が出た。
残りの1はDEX。

ここでSTR最高を狙うのも手だが
疲れてきたのと
この後19未満ばかりだったら…
と言う思いから
サイコロを振るのをヤメた。

さて名前だ。
正直、シリウスでの名前はダサかった。

韓国産ゲームと言う事から
日本語はNGだと思っていたけど
実際にゲームをしてみたら
日本語の名前が多い事に気が付いていた。


今度は日本語にしよう。
でも自分の名前が連想できるのは良くなさそうだ。

何にしよう…。



小学生の時だった。
その頃「がきデカ」だの
「マカロニほうれんそう」だの
人気のある作品が多かったせいか
ずっと少年チャンピオンを読んでいた。

中学生になった時に
「すくらっぷ・ブック」と言う
思春期の中学生の学校生活をテーマにした
いわゆる「学園もの」のマンガが始まった。

主人公は中学2年生。
その時僕は中学1年生。

恋やら
友情やら
そんな事が描かれていた作品だった。

その主人公は
親友と
その恋人をサポートしているのに
自分はひとりだったりとか

得意科目が国語と美術で
それが僕と同じだったとか

性格や
恋や友情に揺れ動く心とか

自分に重なり合う事が多すぎて
何となく
その主人公と自分を重ねていたんだ。

そんな彼は
「夢の修理屋」と呼ばれていた。


心の痛みや傷を知っている人
だからこそ
人にやさしく出来る

そんな人間を目指していた僕には
「夢の修理屋」
という言葉は憧れの存在になっていた。



特に理由は無かった。
ただ好きな言葉を名前にしたかった
ただそれだけの事だ。


こうして
中途半端なステータスを持った
STRナイト「夢の修理屋」

新しいサーバーでの
新しい冒険へ

一歩だけ進む事が出来た。



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