修理屋物語 エピソード1 出会い

インターネット。
ダイヤル回線でテレホーダイ。

大体の人のスタートはこんなものだろう。
そして誰もが常時接続に憧れる。

しかしその費用が故に手が出せず
夜11時以降しかネットが出来なかった。

そんなある日。
ADSLの安い回線が出来ると情報が入った。
チャンス。

数ヶ月間
対応エリアに入るのを待つ。
入ったと同時に申し込み。

しかししばらく放置され
一ヵ月半後
回線が繋がってもいないのに
モデムの入った箱が届いた。

きっともうすぐだ。
待ちきれずに
モデムの設置だけする事にした。

モデムの入った箱を開梱。
本体やら
説明書やら
見なくても接続出来るよと思いながら
一枚のCDを見つけた。


「Lineage」


オンラインゲーム リネージュ。



MS-DOSの全盛時代。
そしてインターネットなんかなくて
1200bpsのモデムで
一生懸命文字だけを受送信していた
パソコン通信時代後半。

富士通が
CDを搭載したパソコンを発表した。

そしてそのパソコン専用のネットワークコミュニティ
「Habitat」
のサービスが開始された。

今では当たり前だが
文字だけの通信であった時代に
ビジュアルなアバタが
画面の中を歩き、しゃべる。

それは斬新な事だった。

でも僕のパソコンでは無理だった。
いつかきっと
バーチャルな世界を歩く自分が見られる。

そんな事を思いながら諦めていた。



「オンラインゲーム」と言う言葉を聞いた僕には
その[Habitat」が思い浮かんだ。

すごい。
ひとつひとつのキャラクターの向こうに人がいて
みなそれぞれに動き回る。
そしてそれがRPGなんだ。

夢が広がる一方だ。
ついにこんな時代になったんだ。


散々待たされた開通。
すでにインストールされていたリネージュのアイコンを
ダブルクリック。

家庭用ゲームと同じような
会社名のロゴを眺めた後

アカウントの登録とログイン。


ワクワクする。

ドキドキする。

いったいこれからどんな世界が待ってるんだ?

どんな人たちが待ってるんだ?


そしてどんな冒険が待ってるんだ?


キャラクターは
男ナイトを選んだ。

RPGをする時はいつもそうだ。
必ず一番無難な職業を選ぶ。
RPGの基本は
どんなゲームでもナイトだ。

サイコロでステータスを決める。
付属の説明書には
ナイトは攻撃力勝負だから
STRが高い方が良いらしいと書いてある。

そこそこのステータスが出て
これでキャラクターが決まった。

次は名前だ。


こんな時はセンスが問われる。
良い名前が思いつかない。

自分の名前と
好きなパチスロ機の名前を強引に繋げた。

「OmiCondor」


今作成したキャラクターを選んで
「OK」を押す。

ついにリネージュの世界に突入だ。


真っ暗な風景。
近くを歩く見た事のないキャラクター。


寂しそうな音楽に耳を傾けながら
僕のリネージュの冒険は始まったんだ。



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